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「カードローンの審査で、年収の3分の1までしか借りられないと言われた」「今の借金が年収の3分の1を超えていたら、すぐ返さないといけないの?」。総量規制という言葉は聞いたことがあっても、どこまでが対象なのか、はっきりわからない人は多いのではないでしょうか。
この記事では、金融庁の「貸金業法Q&A」の説明だけをもとに、総量規制の4つのポイントを整理しました。借りる前、そして今の借入れを見直すときの確認用に使ってください。
※この記事は一般的な制度の説明です。個別の借入れや返済の判断は、借入先の貸金業者や多重債務相談窓口に相談してください。
総量規制の基本
総量規制とは何か
金融庁の貸金業法Q&Aでは、総量規制は、借り過ぎ・貸し過ぎを防ぐために設けられた規制で、貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超える場合は、新たな借入れはできなくなる、という内容だと説明されています。
同じQ&Aでは、例として、年収300万円の人は、貸金業者から100万円までしか借りることができない、と紹介されています。
いつから始まった?
金融庁のQ&Aによると、貸金業法は平成18年12月に成立し、段階的に施行されてきました。そして、平成22年6月18日に、総量規制などの重要な部分を含む、すべての規定が施行されました。
なぜ作られた?
金融庁のQ&Aでは、返済しきれないほどの借金を抱えてしまう「多重債務者」の増加が深刻な社会問題となっていたことが背景として挙げられています。この「多重債務問題」を解決することを目的として、従来の法律を抜本的に改正し、新しい貸金業法が作られた、と説明されています。
「貸金業者」とはどんな会社?
金融庁のQ&Aでは、お金を貸す業務を行っていて、財務局または都道府県に登録している業者を「貸金業者」といい、具体的には消費者金融やクレジットカード会社などが挙げられています。一方で、銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫なども融資を行っていますが、これらは貸金業者ではない、とされています。
総量規制を考えるときは、まず「どこから借りているか」を確かめることが出発点になります。
総量規制の4つのポイント
ここからは、金融庁のQ&Aで説明されている内容を、4つのポイントに分けて見ていきます。
1. 上限は年収の3分の1
貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超える場合、新たな借入れはできなくなります。ただし、金融庁のQ&Aでは、年収の3分の1を超える借入れがある場合でも、新規の借入れができなくなるだけで、直ちに年収の3分の1までの返済が求められるわけではない、と説明されています。契約どおりに返済を続けてください、とされています。
また、年収の3分の1を超える借入れがあるからといって、利用者が行政処分を受けたり、刑罰を科されたりすることはない、とも説明されています。
2. 複数社の借入れは合計で判断
複数の貸金業者から借りている場合は、すべての貸金業者からの借入れの合計が、年収の3分の1以内であることが必要です。1社ごとに見るのではありません。
金融庁のQ&Aの例では、年収300万円の人が貸金業者Aに80万円の借入れがある場合、貸金業者Bからは20万円(300万円×1/3−80万円)までしか借りることができない、と説明されています。
貸金業者は、「指定信用情報機関」に集められた借入残高のデータを利用して、借り手の借入残高を把握する仕組みです。年収については、基本的に「年収を証明する書類」を借り手から受け取って把握する、とされています。
3. 対象外の借入れもある
金融庁のQ&Aでは、次のようなものは総量規制の対象外、または貸金業法の規制の対象外と説明されています。
- 住宅ローンや自動車ローン(総量規制の適用除外)
- 銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農協などからの借入れ(銀行のカードローンを含む)
- 法人向けの貸付け
- クレジットカードのショッピング(商品やサービスの購入)
一方、クレジットカードのキャッシングは総量規制の対象です。年収の3分の1を超える借入れがある場合、キャッシングで新たに借りることはできませんが、ショッピングでの買い物は可能だと説明されています。
個人事業者の場合は、事業・収支・資金計画を提出し、返済能力があると認められれば、上限金額に特段の制約なく借入れが可能、とされています。ただし、最終的に貸付けを行うかどうかは貸金業者の判断に委ねられる、という注意もあります。
4. 年収を証明する書類が必要な場合
個人がお金を借りる場合(リボルビング契約の借入枠を設定する場合も含む)、次のどちらかに当てはまると「年収を証明する書類」の提出が必要になります。
- ある貸金業者から50万円を超えて借りるとき
- 他の貸金業者から借りている分も合わせて100万円を超えて借りるとき
それ以外の借入れであれば、自己申告に基づいて年収を確認する、とされています。
4つのポイントのまとめ
| ポイント | 金融庁Q&Aの説明 |
|---|---|
| 1. 上限 | 貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超えると新たな借入れ不可 |
| 2. 合計 | 複数の貸金業者からの借入れの合計で判断 |
| 3. 対象外 | 住宅・自動車ローン、銀行等の借入れ、ショッピングなど |
| 4. 書類 | 1社50万円超、または合計100万円超で年収を証明する書類が必要 |
自分の場合を計算してみよう
計算の手順
金融庁のQ&Aの例にならうと、あといくら借りられるかの上限は、「年収×1/3 − 貸金業者からの借入残高の合計」で考えられます。手順は次のとおりです。
- 自分の年収を確認する
- 年収を3で割る
- 消費者金融やクレジットカードのキャッシングなど、貸金業者からの借入残高をすべて足す
- 2から3を引く
銀行のカードローンや住宅ローン、自動車ローン、クレジットカードのショッピングは、ここでは足しません。
年収別の目安
年収の3分の1を計算すると、次のようになります。
| 年収 | 年収の3分の1 |
|---|---|
| 240万円 | 80万円 |
| 300万円 | 100万円 |
| 360万円 | 120万円 |
| 450万円 | 150万円 |
たとえば年収360万円で、貸金業者2社から合計90万円を借りている場合は、120万円−90万円=30万円が、総量規制の上での残りの枠です。ただし、実際に借りられるかどうかは各貸金業者の審査で決まります。総量規制の枠が残っていても、返済の見込みが立たないなら新たな借入れは控えましょう。金融庁のQ&Aでも、返済の見込みが立たないのに新たな借入れを行うことは、多重債務に陥る可能性がある、と注意されています。
個人事業者の少額の借入れ
金融庁のQ&Aでは、個人事業者が借入れをする場合、借入金額が100万円以下であれば、事業・収支・資金計画の提出に代えて、事業・収支・資金繰りの状況が確認できる書面の提出で借入れを行うことができる、と説明されています。ただし、個々の貸金業者の判断で追加の資料を求められることがあります。
年収を証明する書類の種類
法令で定められている書類
金融庁のQ&Aでは、「年収を証明する書類」として、法令上、次の書類が定められていると紹介されています。
| 書類 | 条件 |
|---|---|
| 源泉徴収票 | 直近の期間に係るもの |
| 支払調書 | 直近の期間に係るもの |
| 給与の支払明細書 | 直近の2か月分以上(地方税額の記載があれば1か月分) |
| 確定申告書 | 直近の期間に係るもの |
| 青色申告決算書 | 直近の期間に係るもの |
| 収支内訳書 | 直近の期間に係るもの |
| 納税通知書 | 直近の期間に係るもの |
| 納税証明書 | 直近の期間に係るもの |
| 所得証明書 | 直近の期間に係るもの |
| 年金証書 | ― |
| 年金通知書 | 直近の期間に係るもの |
確定申告書から所得証明書までの書類は、複数年分の事業所得を使って年収を計算する場合、その複数年分の書類が必要になる、とされています。
借入枠だけある場合
金融庁のQ&Aでは、借入枠は設定されているものの借入残高がない場合でも、年収を証明する書類を提出しないと、個々の貸金業者の判断で借入枠(キャッシング枠)が減額される場合がある、と説明されています。
専業主婦・主夫の場合
専業主婦・主夫が借入れをする場合は、配偶者の同意を得て借入れができる場合がある、とされています。その際は、配偶者の年収を証明する書類や、借入れについての配偶者の同意書などが必要になります。
金利の上限もあわせて確認
上限金利を決める2つの法律
金融庁のQ&Aでは、上限金利は、上限を超えた金利が無効となる利息制限法(貸付け額に応じて15〜20%)と、刑事罰の対象となる上限金利を定めた出資法の2つの法律で規制されている、と説明されています。
グレーゾーン金利の撤廃
以前は、出資法の上限金利と利息制限法の上限金利の間の金利帯でも、一定の要件を満たすと有効になる、いわゆる「グレーゾーン金利」がありました。金融庁のQ&Aによると、平成22年6月18日以降、出資法の上限金利が20%に引き下げられ、グレーゾーン金利は撤廃されました。上限金利は利息制限法で定められた水準(貸付け額に応じて15〜20%)となっています。
登録のない業者に注意
金融庁のQ&Aでは、貸金業法に基づく登録を受けずに違法に貸金業を営む業者を「ヤミ金融」と説明し、違法な金利での貸付けや、借り手を精神的に追い詰めるような過剰な取立てを行うものもある、と注意を呼びかけています。借りられないからといって、登録のない業者からは借りないようにしましょう。
総量規制についてよくある質問
年収の3分の1を超えたら、一括で返さないといけない?
金融庁のQ&Aでは、直ちに年収の3分の1までの返済が求められるわけではなく、契約どおりに返済を続けてください、と説明されています。
銀行のカードローンは総量規制の対象?
銀行のカードローンは、一般の銀行等の借入れと同じく、総量規制の対象とはならない、とされています。
急に借りられなくなって生活が苦しいときは?
金融庁のQ&Aでは、まず借入先の貸金業者に相談するよう案内されています。貸金業者は、借入れや返済に関する相談・助言などの支援を行う団体を紹介するよう努めることになっている、と説明されています。返しきれないほどの借入れがある場合は、近くの多重債務相談窓口への相談が案内されています。
また、生活が苦しい場合は、地域の社会福祉協議会の「生活福祉資金貸付」や、市区町村の「生活保護」などの制度を利用できる場合がある、とされています。詳しくは最寄りの市区町村に問い合わせてください。
総量規制の4つのポイントを確認しよう
最後に、総量規制の4つのポイントをもう一度まとめます。
- 貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超えると、新たな借入れはできない
- 複数の貸金業者からの借入れは合計で判断される
- 住宅・自動車ローン、銀行等の借入れ、クレジットカードのショッピングなどは対象外
- 1社50万円超、または合計100万円超の借入れでは年収を証明する書類が必要
総量規制は、借り過ぎを防ぐための仕組みです。今の借入れの合計と年収を一度書き出して、自分の状況を落ち着いて確認してみましょう。返済に困ったときは、一人で抱え込まずに相談窓口を頼ってください。